Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357
軟骨細胞におけるグルコサミンのオートファジー誘導に関する機能解析
五十嵐 庸 中村 果歩坂本 廣司長岡  功
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 15 巻 p. 29-33

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抄録

 ヒト軟骨培養細胞株における,オートファジーマーカー分子の発現に対するグルコサミン(glucosamine,GlcN)の効果を検討した.その結果,LC3-IIやbeclin-1などの発現が,GlcNにより有意に増加することが明らかとなった.また,同時にサーチュイン(sirtuin,SIRT)1遺伝子の発現も,GlcNにより有意に増加した.さらに,GlcN添加によるLC3-IIの発現増加が,SIRT1阻害剤であるEX527で阻害された.さらに,mammalian target of rapamycin(mTOR)の関与を検討するために,mTORの標的分子であるS6 キナーゼ(S6 kinase,S6K)のリン酸化を調べたところ,S6Kのリン酸化に対してGlcNは影響しないことが明らかとなった.そこで,mTORを介さずにオートファジーを負に制御するp53のアセチル化状態を検討したところ,p53のアセチル化がGlcNによって有意に減少することが明らかとなった.なお,SIRT1は脱アセチル化酵素としてp53を脱アセチル化し不活性化することが知られている.以上の結果より,GlcNは軟骨細胞においてSIRTタンパク質の発現を亢進し,その標的分子であるp53を脱アセチル化し不活性化することによって,オートファジーを誘導するというメカニズムが考えられた.

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© 2019 ファンクショナルフード学会
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