親水性及び疎水性層からなる貼合せ膜の膜面に垂直な方向の一次元拡散について,その正方向(例えば,親水性層→疎水性層)及び逆方向の流束の式を,各成分膜の拡散係数及び溶解度係数のペネトラント濃度依存性を考慮して組立て,二方向の流束比の計算方法を示した。種々の厚さの疎水性(ポリエチレンテレフタレート,ポリ酢酸ビニル)層,親水性(ポリビニルアルコール)層の組合せからなる貼合せ膜の水蒸気透過性測定結果は,各成分単独膜の挙動から計算される結果と一致した。二方向の流束比は,ある相対蒸気圧で極大値を示すが,その相対蒸気圧は,成分膜の収着及び拡散挙動から定量的に推測される。