繊維学会誌
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布の吸水・蒸発特性の一評価法
粟野 美千子白井 真理石川 欣造
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1987 年 43 巻 3 号 p. 155-160

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抄録
布の水分に対する性能は衣服の快適性に影響を及ぼす重要な因子である。特に暑熱環境下において発汗が生じた場合,衣服が汗を吸湿・吸水しさらに蒸発・乾燥させる機能の有無は衣服の快適感を大きく左右する。
そこで,本研究では布の吸水・蒸発特性を同時に評価する目的で,バイレック法(JIS-L 1096)を基に布を移動する水分量(蒸発量)を試料別に測定する方法(吸水・蒸発特性評価法)を考案した。実験は17種の試験布について,吸水上昇高,吸水量(布の保持水分量),蒸発量を測定した。その結果, (1)吸水上昇高,つまり蒸発に関与している面積と蒸発量の相関は高く,吸水上昇高は有効な指標である。(2)吸水量と上昇高との関係を検討すると布の構造によって異なった分布を示す。(3)水分の移動に適した織物構造を持ち,蒸発に関与する繊維間隙・表面積がより大きい布は吸水・蒸発性能が良好であるなどが明らかとなった。
以上より,本評価法は簡便に各種衣料素材の吸水・蒸発特性を検討する方法として有効と考えられる。
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