水産工学
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北海道日本海沿岸における大型海藻群落の保全と造成に関する研究
川井 唯史
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2006 年 42 巻 3 号 p. 219-224

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抄録

北海道日本海南西部沿岸ではホソメコンブやフシスジモクの分布が極浅所に限られ,海底は無節サンゴモが覆い,その上にはキタムラサキウニが優占している。そして藻場造成のためにはキタムラサキウニの食圧制御が必要である。小樽地先のサンゴモ平原上のキタムラサキウニを除去し,ホソメコンブ群落を造成した。しかしホソメコンブの現存量には,冬季の水温や平均底面流速が大きく影響した。水温と栄養塩には関係があるため,泊地先における冬季の硝酸塩濃度の平均と範囲を解析した。そして平均的な濃度の範囲におけるホソメコンブ配偶体の細胞数増加速度と硝酸塩濃度の関係を,室内実験で求めた。細胞数の増大は4.0μM以上で見られ,細胞数増加速度は濃度と共に上昇した。寿都地先におけるフシスジモクの繁殖時期を明らかにし,繁殖時期前にキタムラサキウニの漁獲を行ったところ。フシスジモクの現存量は急増した。漁獲時期の管理によるフシスジモク群落の長期的な維持を実証した。

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© 2006 日本水産工学会
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