2009 年 46 巻 2 号 p. 127-134
サガラメ群落減少の一因としてアイゴの採食が考えられたため,防御する手法を検討した。サガラメは,側葉が失われても,分裂組織が残っていれば側葉を新生するので,生分解性繊維を用いてアイゴの採食から分裂組織を保護することにより側葉を新生させる試験を実施した。室内実験により,保護材の選定および形状の確定を行い,ポリカプロラクトンの5倍延伸繊維8,000D,1.5mを1藻体当たり6本装着することとした。海域試験において,この方法によりサガラメの分裂組織をアイゴの採食から保護し側葉を新生できることが実証された。なお,生分解性繊維は,アイゴの採食期間である9〜11月の3ヶ月を過ぎると分解して消失する。この方法は,既存の防御網による防御方法と比べ,設置が簡便で,点検,補修,清掃,撤去などの作業が不要となるため,安価な防御が可能である。