2021 年 58 巻 2 号 p. 109-114
海洋波の時系列データを線形確率過程として取り扱うことによって海洋波の研究が発展してきた。しかし,これらは微小振幅波理論に基づいているため制約がある。この理論では海洋波の時系列データの不規則性は多数の成分波の線形重ね合わせによるものとされている。したがって,計測された海洋波の時系列データが十分な線形性を有していない場合,パワースペクトラム密度関数等による解析や評価は不十分にならざるを得ない。本研究ではフェイズ・ランダマイズド・サロゲートデータを用いて計測された海洋波の時系列データの線形性を評価する方法について論じる。具体的には計測された時系列データの再構成軌道の幾何学的特徴を定量化することにより評価する。