日本フットケア学会雑誌
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特集:下肢の浮腫を視る
下肢の浮腫を視る─看護の立場から─
佐藤 文
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2017 年 15 巻 2 号 p. 46-49

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抄録

【要旨】高齢者の下肢の浮腫は,全身疾患の臨床症状として出現する浮腫と,加齢によって起こる多様な要因によって出現する浮腫が混在する.また,浮腫の有病率も高い.特に,自立度の低下,座位時間の延長などにより浮腫は下肢に認めることが多い.浮腫の評価方法には,脛骨前面末梢側 1/3 付近あるいは足背を母指で圧迫した後の圧痕の深さを 4 段階で評価する方法と,AFTD-pitting テストにて圧痕の形状および非圧痕性浮腫を評価する方法がある.特に後者は浮腫有病率調査において有用な方法とされている.下肢の浮腫は,日内変動し時間の経過とともに増大する.自立度の低い高齢者の浮腫の前向き調査によると,浮腫が継続することにより重症化し,圧痕性浮腫から非圧痕性浮腫へと移行していた.また,浮腫の範囲が足趾・外果・下腿遠位後面へと拡大することがある.このように下肢浮腫が重症化すると下肢の関節可動域が縮小し,活動性の低下,転倒リスクが高まる可能性がある.以上から,下肢浮腫を少しでも軽減・緩和できる介入プログラムの確立と,高齢者が安全に自分で動ける足・脚を維持できるような援助が必要である.

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© 2017 日本フットケア学会
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