日本フットケア学会雑誌
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総説
リハビリテーション関連職種である作業療法士から見た下肢リンパ浮腫のリハビリテーション
田尻 寿子田沼 明
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2017 年 15 巻 3 号 p. 116-123

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抄録

【要旨】婦人科がんなどに対するリンパ節郭清術後などに生じるリンパ浮腫は,下肢の腫脹や硬化などがある場合は膝が曲がりにくいなどの関節可動域制限や,脚が重いために階段昇降や歩行などの ADL(日常生活動作)に困難を生じたり,家事や仕事,趣味などの IADL(日常生活関連動作)を制限したりせざるを得ない場合がある.リハビリテーション関連職種である作業療法士は,対象者の心身機能の障害を改善・軽減するのみでなく,対象者がより満足のできる生活を構築(再編)していけるよう,様々な治療・指導・援助を行う.そのため,リンパ浮腫の改善を目指すと当時に,股・膝関節などの関節可動域制限の改善や,そこから派生する ADL や,家事・仕事・趣味などについても生活上での工夫点を模索し,対象者が大切にしている「生活」が少しでも安全にできる方法を検討したいと考える.そのため,リンパ浮腫に対する保存的治療である複合的治療を行う際に,①家事・仕事・趣味などの生活行為を極力妨げない圧迫方法の検討,②下肢リンパ還流を「促進する」「阻害しない」生活の仕方の提案,③困難な動作に関しての,代償的動作・福祉用具・自助具などの提案なども行っている.

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© 2017 日本フットケア学会
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