【要旨】糖尿病患者への予防的フットケアは,患者自身がセルフケアを行い,足病変をつくらないだけに留まらず,療養行動についてもセルフケアにつなげていくことが目標となる.対象は「足」だけではなく,糖尿病をもつその人自身なのである.足のケアを通して患者の思いや生活,即ちその人自身に対する理解を深めていく.そのためには,足だけを焦点化するのではなく,「足の状況」「全身状態」「生活状況」「セルフケア状況」の 4 つの視点で患者を捉え,関連性をアセスメントしたうえでケアを行うことが必要である.また,フットケアがもたらす心地よさや足の状態の良い変化が患者のセルフケアの変化を促進しているといえ,糖尿病患者に対するフットケアが,足病変の治療や予防的行動に向けた指導だけに留まっていないことが示されているといえる.以上のことを踏まえ,フットケアに関する知識や技術を高めるだけに終始することなく,患者に対して関心を向け続け,患者の思いを大切にし,そして,患者のことを大切に思い,その人それぞれにあわせた支援を行っていきたい.