1981 年 22 巻 1 号 p. 67-76
中学1年から大学2年までの生徒学生の原子分子の理解,特に身近な物質の現象をどの程度:原子分子レベルで考えることができるか,その発達の実態を明かにするために,対象校21校の生徒学生約 2,300名に対し1979年アンケート調査を行った。調査結果の解析から得た結論は次の通りである。 (1)物性現象の原子分子概念による定性的理解は学習年数とともに順当に発達している。 (2)原子分子概念は中学後半から高校にかけて形成され徐々に定着していく。 (3)物質の構成単位の理解,合成分解の区別および原子の定量的性質の把握等については学習効果が比較的弱い。この改善には今後具体的な現象に即した教材を開発し,数学教育との関連に留意しつつより系統的で一貫性のある教育を行うよう研究する必要があると思われる。