1992 年 33 巻 1 号 p. 49-57
1. 今回の学習指導要領の改訂により小学校第4学年から扱われることになった「植物の運動」の学習に適した教材を、市街地にも生えている身近な植物を用いて開発する一環として、シロツメクサ、クズ、ニセアカシア(以上マメ科)およびカタバミ(カタバミ科)における葉の開閉を、屋外に生えているままの状態で観察し、次の結果を得た。1)夜に葉を閉じる現象(就眠運動)だけでなく、日中にも一時的に閉葉する現象が、4種のいずれにも認められた。2)夜の閉葉(就眠運動)は照度が落ちる夕方に生じ、晴天時にも雨天時にも見られた。一方、日中の一時的な閉葉は晴天時に葉が日なたにあって、かつ照度が増加した時に見られ、雨天時には見られなかった。3)植物によっては昼の閉葉は夜の閉葉と向きが反対であった。すなわちシロツメクサの閉葉は昼夜とも上向き(V状)、カタバミは昼夜とも下向き(逆V状)に起ったが、クズ、ニセアカシアの閉葉は夜は下向き、昼は上向きに起った。2) と3)から、昼の閉葉と夜の閉葉は、葉を閉じるという点で共通しているものの、異なる生理的状態によってもたらされる「別の現象」であると考えられる。2. 以上の結果に基づき、これらの種類で観察された日中における葉の開閉運動は、次の点で植物の運動教材に適していると判断される。1) 市街地にも生えている植物で観察できること。2)就眠運動と異なり、日中における通常の授業時間帯に観察できること。3)就眠運動が植物の内発的なリズムに依るとされるのに対し、この運動は気象という外的条件の変化と直接的に対応しているので「植物も環境が刻々と変化するのに応じつつ生活を営んでいること」に気づかせやすいこと。