J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

日本薬理学雑誌
Vol. 117 (2001) No. 4 P 283-292

記事言語:

http://doi.org/10.1254/fpj.117.283

ミニ総説号 「プロスタグランジンを巡って-分子薬理から創薬まで-」

血管新生は, 既存の血管から新生血管が形成される生命現象であり, 病的には各種増殖性炎症, 潰瘍創傷治癒過程, 固形腫瘍の増殖などの場合に, 生理的には発生の過程や性周期における子宮内膜の増殖の際にみられる生体反応である.基底膜の分解から新生血管の形成に至る一連の複雑な反応であり, それは各種増殖因子(growth factor)で調節されるが, prostaglandins(PGs)も血管新生を増強することが知られている.スポンジ皮下移植血管新生モデルを用いて, 実際に血管新生という生命現象に関与するcyclooxygenase(COX)さらには内因性のPGおよびその受容体を検討した.誘導型COX-2によって生成されたPGE2がEP3受容体を介して血管新生を増強することが判明した.その増強作用はvascular endothelial growth factor(VEGF)の誘導を介していた.腫瘍を皮下に接種した場合の血管新生においても, COX-2由来の内因性PGE2が宿主側組織(stroma)のEP3受容体を介してVEGFを誘導し, 血管新生を増強していることが明らかになった.一連の研究成果より, 選択的COX-2阻害薬や選択的プロスタノイド受容体拮抗薬が, 癌を含めた血管新生が関与する多彩な病態への新しい治療薬として応用が可能であることが考えられた.

Copyright © 2001 公益社団法人 日本薬理学会

記事ツール

この記事を共有