日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
スルホニルウレア系経口血糖降下薬グリメピリド(アマリール®)の薬理作用と臨床効果
板東 勝敬山田 宜和
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2001 年 118 巻 1 号 p. 59-67

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抄録

2型糖尿病は, 膵β細胞からのインスリン分泌不全およびインスリンの標的組織(肝臓, 筋肉, 脂肪組織)におけるインスリン感受性低下が原因で高血糖を呈することが知られている. 現在2型糖尿病の薬物治療の主流をなしている薬剤は, インスリン分泌を促進することで強い血糖降下作用を示すスルホニルウレア系経口血糖降下薬(SU薬)であるが, 強力なインスリン分泌促進作用のため, 体重増加·低血糖·膵β細胞の疲弊による二次無効等の問題点が指摘されている. 新しいタイ護のSU薬であるグリメピリドは, 既存のSU薬と同等の血糖降下作用を有するにもかかわらず, 膵β細胞に対するインスリン分泌促進作用はマイルドであるという特徴をもつ. 膵β細胞SU受容体への本剤の作用は, グルベンクラミドよりも親和性が弱く, 結合速度および解離速度が速いことが示されている. また, その血糖降下作用の一部はインスリン感受性改善作用, つまり肝臓での糖の取り込み促進, 糖放出抑制および筋肉·脂肪組織等の末梢組真での糖取り込み促進によることが動物実験で報告されている. グリメピリドは, 既に世界60ヵ国以上で広く臨床使用され, グリベンクラミドよりも低血糖が少なく, また体重を増加させないとの報告もあり, 既存のSU薬で問題視されていた体重増加·低血糖·膵β細胞の疲弊による二次無効等を軽減する新しい薬剤として, 日本においても2型糖尿病の有効な治療手段として期待される.

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© 2001 公益社団法人 日本薬理学会
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