日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規クラス抗菌薬リネゾリド(ザイボックス®)の抗菌作用および臨床効果
入野田 一彦野村 俊治橋本 宗弘
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2002 年 120 巻 4 号 p. 245-252

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抄録

リネゾリド(ザイボックス®)は,全く新規なオキサゾリジノン系完全合成抗菌薬であり,2001年4月,国内初めてのバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症治療薬として承認を得た.リネゾリドはグラム陽性菌に対して広い抗菌スペクトルを有し,そのMIC90は0.5~4 µg/mLで,バンコマイシンとほぼ同程度の抗菌活性を示した.また,リネゾリドはVREやメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの薬剤耐性菌に対しても感受性菌と同程度の抗菌活性を有している.既存のタンパク合成阻害薬のマクロライド,テトラサイクリン,アミノグリコシド,クロラムフェニコール系薬剤は,細菌のタンパクがリボソームで合成される段階の30S及び50Sリボソームに結合してelongation cycle(伸長過程)を阻害するのに対し,リネゾリドはリボソームの50S,30S-mRNA,fMet-tRNAの三者が形成される過程を阻害し,かつ伸長過程を阻害しない.リネゾリドはこの特有な作用機序を有することにより,既存の抗菌薬群に対して耐性を有する菌にも交叉耐性を示すことなく,また,耐性獲得も極めて緩除であった.リネゾリドのVREに対する抗菌作用は静菌的であった.リネゾリドは経口投与によりVREを感染させたマウス全身感染モデルにおいてin vivoにおける有効性を示し,同じくマウス軟組織感染症モデルにおいても膿瘍形成前に経口投与することにより感受性菌の場合と同程度の有効性を示した.リネゾリドの経口投与後の吸収は極めて速やかであり,静脈内投与との比較における経口投与での生物学的利用率はほぼ100%である.臨床試験において,リネゾリドは1日2回の投与によりVRE感染症治療に優れた有効性を示すことが明らかにされている.

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