咀嚼運動の中枢性・末梢性制御機構解明を目的として,種々の動物モデルが開発されてきた.近年,分子生物学の発展に伴い,マウスを用いた疾患モデルが次々と作り出されている.顎口腔領域においても,口腔運動疾患の病態発症機構解明のためのマウスによる動物モデルの確立が待たれていた.我々は,新たに開発した顎運動測定システムを用いて,マウスの咀嚼運動を無麻酔・無拘束下に記録した.さらに,このシステムをBDNFノックアウトマウスに応用し,BDNFの咀嚼運動における役割を調べた.その結果,マウスを使った咀嚼運動実験モデルの確立および運動の末梢性・中枢性制御機構解明に向けた新たな研究手法に道が開けた.今後,口腔運動疾患の病態発症機構解明とその診断・治療に向けて研究を進めたい.