日本薬理学雑誌
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総説
東洋医学の普遍性を如何に担保するか
─異なったパラダイムの和諧を求めて─
寺澤 捷年
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2006 年 128 巻 6 号 p. 389-394

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抄録

「東洋の知」は「西洋の知」とは異なったパラダイムである.東洋の知に立脚した漢方の特徴は「気の思想」に基づく独特の病態認識と複数の生薬を組み合わせた「漢方方剤」を用いる点にある.他方,「西洋の知」は近代自然科学を基盤に据えており普遍性・客観性・論理性を追求する体系であり,この目的を遂行するために要素還元論をその研究手法の根幹に据えている.生気論に立脚し,しかも多成分系薬剤を用いる「東洋の知」の客観性・普遍性を如何に担保するか,この2つの異なったパラダイムを如何に和諧させるかについて考えてみた.この和諧によって医学・医療の新たな展開が図られると確信するからである.本稿ではこの目的のために,生薬の品質評価,漢方方剤の品質評価,病態認識の客観化,薬理学的研究の方法論,および臨床効果の客観的評価の手法について論じた.

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© 2006 公益社団法人 日本薬理学会
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