日本薬理学雑誌
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特集:行動薬理学入門
行動薬理学的側面からみた動物モデルの意義・役割・問題点
山本 経之
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2007 年 130 巻 2 号 p. 94-96

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抄録

小動物を用い脳の機能を測定する実験課題・方法は,創意・工夫され標準化されたものがある.動物から得られた結果からヒトの精神疾患に対する治療効果を的確に予測する為(向精神薬の前臨床的評価法;スクリーニング法)には,実験課題・方法の確立とその選択はもとより,妥当性の高い動物モデル(病態モデル)の確立が喫緊の課題である.これまでの動物モデルは,ある種の精神疾患の全体像を捉えているモデル(病態モデル)とは言い難いが,精神疾患の一端を捉えているモデル(症状モデル)としての可能性はある.また大部分の動物モデルは,スクリーニングを目的とする“前臨床的評価モデル”の意味合いが強い.精神疾患の病因として,大きく環境要因と遺伝要因の2つが挙げられている.これまで述べた動物モデルで,環境因子を考慮に入れ作成されたものは少ない.遺伝子改変動物を用い環境因子を考慮に入れた実験系を構築すれば,精神疾患の妥当性の高い動物モデルが作成される可能性がある.精神疾患が“分子”と言うミクロな視点で解き明かされればされる程,マクロな視点での行動薬理学的解析が重責を担う事になる.

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