2007 年 130 巻 3 号 p. 201-205
骨粗鬆症モデル動物は,発症に関与すると考えられる要因に基づいて開発され,骨粗鬆症の病態理解に有益な知見を提供したばかりでなく,骨粗鬆症治療薬の開発にも大きく貢献してきた.わが国では,「骨粗鬆症用薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に,動物モデルを用いた薬効評価について指針が示され,その後の開発研究はこれに沿った形で進められている.骨粗鬆症治療薬は,作用機序の観点から骨吸収抑制薬と骨形成促進薬に大別される.現在わが国で使用可能な骨粗鬆症治療薬の多くは,骨吸収抑制に基づく.副甲状腺ホルモン(PTH)製剤の間歇投与のみ(わが国では未承認)が,唯一臨床効果が実証された骨形成促進薬として知られている.新しい骨粗鬆症治療薬の開発研究は,ビスホスホネート製剤に替わる次世代骨吸収抑制薬あるいはPTHよりも使いやすい骨形成促進薬を主な目標として種々の取り組みが進められている.