日本薬理学雑誌
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総説
ITB(髄腔内バクロフェン)療法
─日本における新しい重度痙縮の治療
安藤 優子齋藤 貴夫金出 政人上園 保仁
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2008 年 131 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

痙縮は様々な中枢性疾患により起こるが,重度の痙縮においては十分な治療効果が得られていないのが現状である.重度痙縮への対応として,中枢性筋弛緩薬であるバクロフェンを脊髄腔内に持続投与する髄腔内バクロフェン(ITB)療法が開発され,2005年本邦でも認可された.バクロフェンはGABAB受容体を介し,シナプス後ニューロンにおける内向き整流性カリウムチャネルの活性化やシナプス前ニューロンにおける電位依存性カルシウムチャネルの抑制などの機序により神経の過活動を抑制し,抗痙縮作用や鎮痛作用を示す.しかし,長期投与では耐性を生じることもあり,耐性形成機序を解明し予防することが今後重要になってくると思われる.また,ITB療法は痙縮とは関連のない慢性疼痛に対しても有効であることが報告されており,今後ますます重要な治療法として認識されていくと思われる.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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