日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
特集:慢性咳嗽治療を理解するための基礎と臨床
遷延性咳嗽と慢性咳嗽の原因疾患
―かぜ症候群後咳嗽(感染後咳嗽)と胃食道逆流による咳嗽の病態と治療―
藤森 勝也
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 131 巻 6 号 p. 406-411

詳細
抄録

咳嗽は持続期間により分類されている.3週間以内の咳嗽を急性咳嗽,8週間以上続く咳嗽を慢性咳嗽という.3週間以上8週間未満の咳嗽は,遷延性咳嗽,subacute cough(亜急性咳嗽)と呼んでいる.本邦における遷延性・慢性乾性咳嗽の4大原因疾患は,咳喘息,アトピー咳嗽,かぜ症候群後咳嗽(感染後咳嗽),胃食道逆流による咳嗽である.遷延性・慢性湿性咳嗽の原因の大部分は,副鼻腔気管支症候群である.かぜ症候群後咳嗽は,別名,感染後咳嗽といい,ウイルスや肺炎マイコプラズマ,肺炎クラミジア感染後に咳嗽が遷延する病態である.ここには百日咳による咳嗽も含まれる.かぜ症候群後咳嗽は,遷延性咳嗽(亜急性咳嗽)の主要な原因疾患で,自然軽快傾向のある疾患である.一方胃食道逆流(GER)は,その名の通り,「胃内容物が食道に逆流する」ことである.胃食道逆流は,生理的現象である.胃食道逆流症(GERD)は,胃食道逆流により,何らかの症状や組織障害を伴う場合に使用される.胃食道逆流による咳嗽は,咳嗽を主な症状とし,胸やけなどの胃食道逆流症状の訴えがはっきりしない場合もある.診断には,24時間食道pHモニターが感度,特異度ともに優れている.しかし侵襲的検査であり,一般臨床上普及していない.他の遷延性・慢性咳嗽の原因が否定され,Empirical therapyとしてのプロトンポンプ阻害薬(PPI)で咳嗽が改善する場合,胃食道逆流による咳嗽と診断する.治療は,薬物(PPIやヒスタミンH2受容体拮抗薬など)による酸逆流抑制だけでなく,食事療法,生活習慣の改善,危険因子の除去を行う必要がある.治療は,2~3カ月は行ってみる必要がある.

著者関連情報
© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top