日本薬理学雑誌
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特集:慢性咳嗽治療を理解するための基礎と臨床
下気道神経系は慢性咳嗽抑制薬の標的になり得るか
高濱 和夫白崎 哲哉周 建融
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2008 年 131 巻 6 号 p. 423-428

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抄録

咳嗽反射は,臨床的にも動物実験レベルにおいてもその薬理学的性質は多様であるが,生体防御反射や急性の咳嗽も難治性の慢性咳嗽も反射弓を構成する神経の興奮を介して発現する.我々はこれまで,難治性咳嗽の動物実験モデルを開発し,臨床上,慢性咳嗽に対して一定の効果をもつとされる薬物のこれらのモデル動物における難治性咳嗽に対する効果を調べてきた.ついで,その薬物の下気道神経系に対する作用を,下気道求心性神経および急性に単離した傍気管神経節ニューロンを用いて調べてきた.その結果,麦門冬湯の活性成分の一つであるオフィオポゴニン-D(OP-D)や抗アレルギー薬のスプラタストが,コデインが効きにくい難治性の咳モデルを抑制すること,また,これらの薬物は,作用のプロフィールや作用機序は異なるが,ともに下気道求心性神経のブラジキニン誘発放電を抑制し,かつ,傍気管神経節ニューロンの興奮性を抑制することがわかった.本総説では,上記について我々の知見を紹介しながら,下気道神経系が慢性咳嗽抑制作用をもつ薬物の作用点の一つになり得るのか否かについて考察する.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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