日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス®錠0.5 mg・1 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
檜杖 昌則石橋 太郎野村 俊治
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2010 年 135 巻 5 号 p. 194-203

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抄録

バレニクリン酒石酸塩はα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に対する部分作動薬であり,α4β2 nAChRに対する強い親和性と,他のnAChRサブタイプに対し500倍以上の高い選択性を有する.α4β2 nAChR発現細胞を用いた電気生理学的検討において,最大作用がニコチンの40%程度となる部分作動薬作用を示し,ドパミン神経系の神経化学的検討では,線条体スライスからのドパミン遊離作用ならびに側坐核でのドパミン代謝回転およびドパミン遊離作用において,ニコチンの約40~60%の最大作用を示した.また,これらの検討でニコチンと併用した場合は,ニコチンの作用を抑制した.ニコチン依存症のモデルであるニコチン依存ラットでの行動学的検討では,バレニクリンはニコチン自己摂取を特異的に抑制し,ニコチン依存症の喫煙者の禁煙治療に有効であることが示唆された.一方,薬物弁別試験およびバレニクリン自己投与試験の結果から,バレニクリンはニコチン様自覚効果と強化効果を有することが示されたが,その作用はニコチンと比べ弱く,またニコチンで見られる断薬時の退薬症候は全く認められなかった.臨床試験では,1 mg 1日2回の12週間投与で第9~12週の4週間持続禁煙率および第9~52週の持続禁煙率においてプラセボ群に対して有意に高い禁煙率を示し,外国臨床試験では既存の経口禁煙治療薬と比較して優れた効果を示した.バレニクリンはニコチンを含まない新しい作用機序を有する禁煙治療薬であり,優れた禁煙率を示すことから,ニコチン依存症の薬物治療の新たな選択肢として効果的な禁煙治療に資することが期待される.

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© 2010 公益社団法人 日本薬理学会
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