2011 年 138 巻 5 号 p. 201-204
新薬の承認審査では申請品目のリスク・ベネフィットバランスが評価され,効能・効果,用法・用量,使用上の注意の妥当性が審査される.承認申請の際に提出される資料には,品質,非臨床試験,臨床があり,審査では,非臨床試験のリスクおよびベネフィットも評価される.非臨床試験として実施される薬理試験とベネフィット,および薬理試験とリスクの関連性は,日米EU医薬品規制調和国際会議のガイドラインや厚生労働省の通知などに記載されている.また,承認審査の過程では,非臨床データがヒトへ外挿され,申請された効能・効果(案),用法・用量(案),使用上の注意(案)が修正されることがある.既承認の抗体医薬品を例に,薬理学データのヒトへの外挿を解説した.新薬開発に薬理学の関与は必須である.新薬開発に関わりたいと考える若い読者の方々へ,臨床開発へと導く薬理学研究のポイントを説明したい.