2014 年 144 巻 5 号 p. 222-226
電位依存性 Ca2+ チャネルの CaV1.2 型は,神経系や心筋,平滑筋などに広く分布し,細胞の興奮や細胞内 Ca2+ シグナリングを介する筋収縮や遺伝子発現調節などに関与している.同チャネルの活性(脱分極時の開口確率)は,細胞内Ca2+ により促進(Ca 依存性促通,CDF)と抑制(Ca 依存性不活性化,CDI)の二面的調節を受けている.CDF にはカルモジュリン(CaM)のチャネルへの直接結合と Ca2+/CaM 依存性タンパク質キナーゼⅡの活性化によるチャネルタンパク質のリン酸化が関与し,CDI にはCaM のチャネルへの直接結合,Ca2+ のCaM を介さない直接作用,タンパク質フォスファターゼによる脱リン酸化が関与すると考えられる.また,同チャネルの活性は,細胞内ATP によっても調節されている.このことは,同チャネルの活動が細胞の代謝状態とリンクしていることを示している.このように CaV1.2 型 Ca2+ チャネルの活動は細胞内 Ca2+ やATP によって複雑に調節されている.