日本では,明治以降,政府はドイツ人医師を教官として招聘し,以後,その体系の元に教育の骨格が矢継ぎ早に形作られていったと言われている.しかし,海外からの医学の導入に性急に過ぎ,その本質を踏まえ,我が国独自の医療システム,医学の有り様を模索することが十分ではなかったのではないかと指摘されている.原点に立ち帰れば,医学・医療の現場における医師における役割は,患者の予防,診断,治療という医療の実践の担い手として,その先導的役割を果たすこと,それに伴う諸課題に対して新たな創造に挑戦していく責務を負うことであろう.こうした視点から,今後ますます,様々な外的要因をあくまで十分に咀嚼した上で,医学部における薬理学教育を改めて実践の場から体系づける努力が必要と考えられる.