中枢神経系における神経細胞の機能および生存においては,細胞内Ca2+動態が適切に制御されていることが不可欠である.主要な細胞内Ca2+ストアである小胞体は,Ca2+の供給および取込を通じて,神経細胞においても細胞内Ca2+動態制御に重要な役割を果たしている.小胞体Ca2+シグナリングの変調が,様々な病態における神経細胞死に関与することが示唆されており,アルツハイマー病を含めた神経変性疾患に関する新規メカニズムとして注目を集めている.本総説では,小胞体Ca2+シグナリングの変調と神経細胞死の関係について,我々の研究を含めた最新の知見を紹介する.また当該分野の研究推進のために不可欠である,小胞体内腔Ca2+動態の可視化技術について,最近の進展を紹介する.