日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(8) 創薬研究の新潮流(29)
老化研究のためのモデルマウス―老化促進モデルマウスを軸にして―
森 政之樋口 京一
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2019 年 153 巻 4 号 p. 179-185

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抄録

世界的に高齢者人口の急速な増加が予測されている状況下,「健康で活動的な人生の期間を可能な限り延長する」という医学研究の最終目標を達成するためには,ヒトの〝老化〟の基本的なメカニズムの生物学的理解,および,老化に伴い発症する様々な〝老化関連疾患〟の発症機序の医学的解明が重要な課題である.老化促進モデルマウス(senescence-accelerated mouse:SAM)は一群の近交系マウス系統で,このうちSAMP系統は共通して促進老化と短寿命を呈する.同時に,老化アミロイド症,老年性骨粗鬆症,学習・記憶障害など,ヒトに類似した様々な老化関連疾患をそれぞれの系統特異的に示すことから老化研究に有用なモデル動物として広く利用されている.本稿ではSAMマウスの特性,およびSAMマウスを用いた基礎ならびに応用研究の現状を紹介する.

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© 2019 公益社団法人 日本薬理学会
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