前臨床試験における医薬品の神経毒性評価および探索段階における薬効評価において,神経ネットワークの機能を指標とした動物実験を代替できる精度の高いin vitro評価系の構築が求められている.ヒトiPS細胞由来神経ネットワークの電気活動を非侵襲多点同時計測できる微小電極アレイ(microelectrode array:MEA)は,一つの有効な評価系である.MEAを用いた痙攣リスク評価における,評価サンプルの興奮性と抑制性のバランス(E/Iバランス)に依存した応答性,および多変量解析やAIを用いた解析法の有効性について紹介する.In vitroの評価系は,in vivoへの外挿性を担保できるが重要な課題である.in vivoへの外挿性にアプローチする手段として,脳オルガノイドを用いたMEA評価やin vivo脳波との比較を可能とするMEAデータの低周波成分解析の一例を紹介する.MEA計測法は,中枢神経系のみならず,末梢神経系にも適用できることから,末梢神経毒性の評価法としての応用も期待される.