日本薬理学雑誌
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特集  看護に必要とされる薬理学教育とは:看護学教育モデルコアカリキュラムの策定と指定規則改正を踏まえて
大学における薬理学教育の在り方:薬物療法に強い看護師を育てるには
赤瀬 智子
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2021 年 156 巻 2 号 p. 103-106

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抄録

看護学における学士課程の教育では,看護学教育モデル・コア・カリキュラムや指定規則の改正において,看護実践能力を修得するための薬理学教育の内容の充実が求められている.そこで,今回,薬物療法に強い看護師を育成するために,大学の学士課程における薬理学教育について考える.看護系大学の学生への薬に対する必要な知識の調査及び臨床の看護師の薬の問い合わせ内容の分析を行った.その結果,学生は薬の作用,副作用については看護師に必要な基本的知識としての認識があった.しかし,学生は薬物動態と実践的な内容について,必要な認識が少なく,臨床で看護師が与薬時に遭遇することの多い実践的な知識と解離していた.臨床の看護師においても患者の治療管理に薬理学の知識である薬物動態が活かせきれていない可能性が今回の調査から見えてきた.調査及び先行研究から,大学教育では,薬理学の知識を基礎から臨床へつなげて教育する必要性,学士課程から卒後への継続教育の必要性,学士課程における薬理学の十分な基礎知識と思考力の構築の必要性,薬効評価を行うための薬物動態の必要性の理解と十分な学習が必要と考える.

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