日本薬理学雑誌
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特集:薬理学における動物実験代替法の新たなる技術展開
MPS開発研究の最新動向と実用化
酒井 康行木村 啓志
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2022 年 157 巻 5 号 p. 330-334

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抄録

幹細胞や培養系に関する格段の学術的進歩を背景として,完全に生体内にあるのと同じ応答を示すインビトロ培養組織・臓器モデルの構築も夢ではなくなっている.現在,以前にも増してインビトロ法の利用推進の機運が世界的にも高まっており,マイクロフィジオロジカルシステム(MPS)(生理学的微小細胞培養システム)はその象徴である.培養系としてのMPSデバイス開発自体は国内外ともにほぼ終了し,次は,例えば製薬企業の創薬プロセスにおける具体的な要求仕様=context of use(CoU)に沿った予測系の構築とその応用可能性の評価が焦点である.この段階での顕著な動きは,開発者(企業および研究者)とユーザー・規制当局が密にコミュニケーションが図られていることで,これらのステークホルダーを巻き込んだ欧州organ on a chip学会(EUROoCS)や国際MPSサミットの開催も始まっている.今後も,MPSに象徴されるインビトロ系やそれを基盤とした個体応答評価予測のための学術と,その成果の社会での活用が進むと予想され,動物実験代替がより推進されることが強く期待される.

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