日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
ImidaprilのアンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害作用に関する研究(I)In Vitroにおける各種組織ACEに対する作用
菅谷 健美濃部 敏谷口 友康橋本 善勝久保 雅巳渡辺 泰三
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 100 巻 1 号 p. 39-45

詳細
抄録

新規ACE阻害薬,imidaprilの活性体である6366Aについて種々の動物ならびに組織由来のACEに対する阻害作用をin vitroで検討し,enalaprilat(エナラプリルの活性体)およびカプトプリルと比較した.部分精製したブタ腎臓およびヒト血清AcEに対する6366Aの阻害定数(Ki)はそれぞれ6.7×10-11M(enalaprilatの1/3,カプトプリルの1/6)および4.0×10-11M(enalaprilatの1/4,captoprilの1/18)であった.また,Lineweaver-Burkプロットを用いた酵素学的解析から6366AのこれらACEに対する阻害様式は拮抗阻害であった.高血圧自然発症ラット(SHR)およびWistar系Kyotoラット(WKY)の肺,大動脈,心臓,脳,腎臓のACEに対する6366A,enalaprilatおよびそれらの関連化合物(6366DM,6366PY)の50%阻害濃度(IC50)は両ラット共にいずれの組織においても6366Aが最も低い値を示した.さらに,これらACE阻害薬の分子構造とACE阻害活性との間には構造活性相関が認められた.以上,6366Aはin vitroにおいてブタ腎臓,ヒト血清およびラット(SHR,WKY)各種組織由来のいずれのACEに対しても,enalaprilatやカプトプリルよりも強いACE阻害作用を示すことが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top