日本薬理学雑誌
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=滋養強壮ドリンク剤の抗疲労効果に関する行動薬理学的研究
只野 武相沢 智樹浅尾 太宏穂積 雅人木皿 憲佐
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1992 年 100 巻 5 号 p. 423-431

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抄録

10数種の生薬を含有するドリンク剤の強壮効果を探る目的でマウスの強制水泳,跳躍及び自発運動量に及ぼす影響について検討した.ドリンク剤は3種を用い,その処方内容は強壮生薬に該当する人参,淫羊〓及び反鼻がほぼ同量3種に共通して含まれているが,その他にサンプル1(S1)は8種,サンプル2(S2)は10種,サンプル3(S3)は12種の生薬内容である.疲労回復効果に対する影響を観察するためにはドりンク剤を経口投与する前にあらかじめ強制水泳或はテトラベナジン(tetrabenazine:TBZ)によるストレスを負荷してから行った.5分間の強制水泳前負荷の場合,S1,S2,S3は遊泳時間を延長させた.その発現のピークは1時間であり,遊泳中の不動時間はS3,S2,S1の順に短縮された.TBZ(50,100mg/kg,i.p.)前処理の場合,ドリンク剤は遊泳中の不動時間の減少及び自発運動量の増加を強制水泳負荷時と同様の効力で発現させた.TBZ(200mg/k9)前処理後ドリンク剤は跳躍の回数の増加と跳躍する迄の潜時を短縮させた.疲労予防効果に対する影響を観察するために,TBZ或は強制水泳負荷をしない状態でドリンク剤を投与した場合,強制水泳試験による不動時間はS2及びS3で短縮されたが,ストレス負荷時の不動時間と比較し,その短縮効果は弱かった.自発運動量に対してドリンク剤は運動量力ウントを増加させるものの生薬成分の種類の増加に依存した結果は得られなかった.跳躍に対しては回数及びその潜時に無影響であった.以上の結果から3種のドリンク剤はいずれも強壮効果を有しており,それらは疲労予防効果よりもむしろ疲労回復効果の方が強いことが示唆された.

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