日本薬理学雑誌
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Carperitide (α-human atrial natriuretic peptide)の循環器系に対する作用
日高 寿範相坂 一雄猪俣 則夫古谷 真優美井上 照好小俣 貢吉田 真己宮崎 朋子大野 知親石原 高文
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1993 年 101 巻 5 号 p. 309-325

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抄録

実験心不全モデル動物において血行動態改善作用を示すことが知られているcarperitide(ヒトのα型心房性ナトリウム利尿ホルモン)の循環器系に対する作用を各種動物を用いて検討した.carperitide(0.1-1000nM)は,KClあるいはノルエピネフリンで収縮させたイヌの摘出動静脈において濃度依存的な血管弛緩作用を示した.また,ラット大動脈平滑筋膜結合型グアニル酸シクラーゼ活性を濃度依存的に亢進させた.3.25-3250nMで,モルモット摘出灌流心臓の灌流圧および心拍数に対して殆ど影響を及ぼさなかったが,325および3250nMで心収縮力を軽度減少させた.また,麻酔ラットにおける心筋エネルギー代謝に殆ど影響を及ぼさなかった.carperitideはラット腎臓スライスにおけるレニン分泌を抑制する傾向がみられた。また,ウシ副腎皮質球状層細胞におけるアルドステロン分泌を濃度依存的に抑制した.carperitideを麻酔あるいは無麻酔イヌの静脈内に投与すると(それぞれ0.1-3.0あるいは1-100μg/kg),平均血圧および総末梢血管抵抗の低下が認められた.心拍出量,冠動脈血流量は一過性に増加した後,減少傾向がみられた.急性心不全モデルの血行動態,尿量に対する作用については,血中のatrialnatriuretic peptide(ANP)濃度(免疫活性)を測定しながら検討した.冠動脈結紮および生理的食塩液負荷により肺動脈楔入圧の上昇がみられたが,carperitideを静脈内に持続注入すると血漿中carperitide(ANP)濃度の上昇に伴い,肺動脈楔入圧を心不全作製前のレベル以下まで低下し,肺動脈圧および右房圧も低下した.また,carperitideは尿量および尿中電解質排泄も増加させ,ヘマトクリット値を上昇させた.以上のようにcarperitideは,種々の循環器系パラメーターに対して作用し,前負荷および後負荷を軽減させることにより,心不全時の血行動態を改善させることが示唆された.

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