日本薬理学雑誌
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殺菌消毒薬の膜作用ならびに界面活性作用について
長谷川 篤司辻 まゆみ中山 貞男小口 勝司
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1993 年 101 巻 5 号 p. 337-347

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抄録

殺菌消毒薬であるm-クレゾール, グアヤコール, ホルムアルデヒド, エタノールとこれらの合剤(FC:ホルムアルデヒド+クレゾール,FCE:FC+エタノール,FG:ホルムアルデヒド+グアヤコール,FGE:FG+エタノール)のラット赤血球と単離肝細胞ならびに水の表面張力に対する影響を検討した.赤血球の低張性溶血はm-クレゾールで抑制されたが,10mMのグアヤコールとホルムアルデヒド,4~10mMエタノールでは溶血促進を認めた.合剤は低張性溶血に対して, 低濃度では溶血抑制, 高濃度では溶血促進という2相性の作用を示した.ラット単離肝細胞からの酵素逸脱において, ホルムアルデヒドは培養液中と肝細胞内のGOT,GPTを減少させた.m-クレゾールは培養液中のGOT,GPTを増加し,肝細胞内のそれらを減少した.培養液中のGOTは10mMのFC,FCEで増加,FG,FGEでは減少を認めた, 肝細胞内GOT,GPTと培養液中のGPTはすべての合剤で減少を示した.GOT,GPT活性はホルムアルデヒドとすべての合剤で抑制された.ホルムアルデヒドと合剤による培養液中のGOT,GPTの減少はホルムアルデヒドによる酵素活性の直接的抑制で起こされたと思われる.単離肝細胞の形態観察において, ホルムアルデヒドとm-クレゾール適用でトリパンブルーを取り込んだ死細胞が見られた.すべての合剤で死細胞の増加がみられた.ホルムアルデヒド,m-クレゾールとエタノールは水の表面張力を低下した.グアヤコールはこれらよりも強い低下作用を示したが,FGとFGEではこの作用が減弱された.以上の結果から, 赤血球の低張性溶血や単離肝細胞膜障害ならびに表面張力低下に対して, ホルムアルデヒド,m-クレゾール, グアヤコール, エタノールはそれぞれが他薬の作用を増強せず, 合剤における結果は各被検薬単独の相殺もしくは相加的作用であることが示唆された.

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