日本薬理学雑誌
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ベルベリンおよびゲンノショウコの止瀉作用に関する薬理学的研究
高瀬 英樹山本 和典伊藤 敬三弓岡 栄三郎
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1993 年 102 巻 2 号 p. 101-112

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抄録

ベルベリンおよびゲンノショウコエキス (Geranii Herba : GH) の各種下痢モデル, 摘出腸管平滑筋収縮ならびに生体位腸管蠕動運動に対する作用を, アトロピンおよびパパベリンの作用と比較検討した.1) ベルベリンは7.5mg/kg, p.o.以上でヒマシ油および塩化バリウム誘発下痢を有意に抑制したが, ピロカルピンおよびセロトニン誘発下痢に対しては250mg/kg, p.o.でも有意な抑制を示さなかった.GHは667mg/kg, p.o.で塩化バリウム誘発下痢を有意に抑制し, 他の3つの下痢モデルに対しては抑制傾向を示した.アトロピンはピロカルピン誘発下痢を最も強く抑制した.パパベリンは, セロトニン誘発下痢以外をいずれも有意に抑制した.2) ベルベリンはパパベリンと同様に, アセチルコリンおよび塩化バリウムによる回腸ならびに結腸の収縮を, 非特異的に抑制した.GHは10-3g/mlの濃度においても各種収縮反応を抑制しなかった。アトロピンのアセチルコリン収縮に対する抑制作用は, 塩化バリウムに対する抑制作用よりも約1000倍以上強かった.また, アトロピンはアセチルコリンの用量反応曲線に対して競合的拮抗作用を示したが, ベルベリンはパパベリンと同様に非競合的拮抗作用を示した.3) ベルベリン (3mg/kg, i.v.) およびGH (50mg/kg, i.v.) は, アトロピンおよびパパベリンと同様に, 腸管蠕動運動を有意に抑制した.以上のことから, ベルベリンおよびGHはともに止瀉作用を有しており, ベルベリンの止瀉作用は非特異的な腸管平滑筋収縮の抑制を介しているが, 一方, GHの止瀉作用は前者と若干異なる機序によることが推察された.

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