日本薬理学雑誌
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コレステロール食負荷ウサギにおける実験的動脈硬化症に対する新規ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬,塩酸エホニジピン(NZ-105)の作用
豊田 恭美北原 真樹山下 利枝首藤 ちづる増田 幸則坂下 光明田中 作彌齋藤 康
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1994 年 103 巻 5 号 p. 231-239

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抄録

1%コレステロール食負荷ウサギを用いて新規ジヒドロピリジン系Ca2+拮抗薬,塩酸エホニジピン[NZ-105:(±)-2-[benzyl(phenyl)amino]ethyl 1,4-dihydro-2,6-dimethyl-5-(5,5-dimethyl-2-oxo-1,3,2-dioxaphosphorinan-2-yl)-4-(3-nitrophenyl)-3-pyridinecarboxylate hydrochloride ethanol]の抗動脈硬化作用について検討した.薬物は10,30及び100mg/kgの3用量を設定し,1日2回,10週間連続経口投与し,コントロール群には溶媒を投与した.NZ-105はいづれの投与量においても血漿脂質に対し影響を与えなかった.一方,動脈壁脂質蓄積部の大動脈壁全体に占める面積比(S.I.)は,100mg/kg投与群において弓部で37%の有意(P<0.05)な低下が,また,大動脈のコレステロールエステル含量では,100mg/kg投与群の弓部で64%の有意(P<0.05)な低下が見られた.これらの結果より,NZ-105は血漿脂質に影響を及ぼすことなく100mg/kgの用量で動脈硬化の進展を抑制することが示唆された.

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