日本薬理学雑誌
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新規抗痴呆薬NIK-247の正常および基底核破壊ラット自発脳波に対する作用
小嶋 純山名 研司郎
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1994 年 104 巻 2 号 p. 111-120

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抄録

正常ラットおよびイボテン酸を用いて基底核を破壊したラットの脳波に対するNIK-247の作用をTHA,フィゾスチグミンと比較した.正常ラットの脳波に対してNIK-247の1および3mg/kg経口投与は影響をおよぼさなかったが,10mg/kg投与により皮質脳波の低振幅化が認められた.THA3および10mg/kg経口投与でも同様に皮質脳波の低振幅化が認められた.一方基底核破壊ラットでは,NIK-247,THAともに3mg/kg以上の用量で皮質脳波の低振幅化および低周波数成分(δ波)の減少を示した.代表的なコリンエステラーゼ阻害剤のフィゾスチグミンは0.1mg/kgの腹腔内投与で正常ラットの皮質脳波を低振幅化させる傾向を示し,また基底核破壊ラット皮質脳波の低振幅化および低周波数成分の減少作用を示した.NIK-247およびTHAの脳波に対する作用は,フィゾスチグミンの作用と同様であったことから両薬物の中枢コリン様作用によるものであることが示唆された.また3薬物ともに今回用いた用量では特に異常な脳波は惹起されなかった.

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