日本薬理学雑誌
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興奮性アミノ酸受容体
薬物受容体研究の新動向
篠崎 温彦
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1994 年 104 巻 3 号 p. 177-187

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抄録

グルタミン酸受容体(GluR)は,中枢神経系のシナプス後膜,シナプス前神経終末,グリア細胞膜などに存在し,速やかな興奮性シナプス伝達から脳の発達過程の調節まで,種々の神経機能に関与している.GluRは,受容体イオンチャネルの開閉に直接関与するイオンチャネル型受容体(iGluR)と,細胞内情報伝達系を介して機能する代謝調節型受容体(mGluR)とに大別されているが,近年,グルタミン酸をはじめとする興奮性アミノ酸が示す特徴的な性質の一つとして,神経細胞死を誘発することが明らかにされた.今まで,種々の神経変性疾患の発症機序の解明は解決の決め手を欠いていたが,強力で選択的な興奮性アミノ酸が,その解明に有用な薬理学的プローブとして,多くの医学研究者の注目を集めるようになった.現在知られているGluRの機能の多くは,神経細胞死の問題も含めて,主としてiGluRとの関連で説明されているものが多く,また,mGluRの研究は最近になって始められたため,アゴニストもアンタゴニストも不十分であり,その生理機能もまだ不明な点が多い.神経細胞死とmGluRとの関係も明確ではない.著者らは,より強力で選択的な新しいmGluRアゴニストを新たに数種見いだし,これらのアゴニストの薬理作用を基盤に,新しい医薬品創製の可能性に期待している.ここでは,GluRの生理機能に関する現在までの知見をまとめ,新規に見いだされたmGluRアゴニストが持つ鎮静効果,抗痙攣作用などの中枢抑制作用,および神経細胞保護作用などを含めた薬理学的プロフィールを概説した.

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