日本薬理学雑誌
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イミダゾリン系α2-交感神経受容体遮断薬midaglizoleのラット単離膵島インシュリン分泌およびcAMPレベル増強作用―ヨヒンビンの作用との比較―
小野 信悦
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1995 年 105 巻 3 号 p. 137-144

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抄録

イミダゾリン誘導体α2-交感神経受容体遮断薬であるmidaglizoleのラット単離膵島のインシュリン分泌およびcAMPレベルに及ぼす影響をヨヒンビンと比較した.その結果,midaglizoleは,ヨヒンビンと同様エピネフリン刺激によるインシュリン分泌およびcAMPレベルの低下を回復させた.しかし,midaglizoleは,ヨヒンビンと異なり,エピネフリンを添加しない膵島でも,グルコースによるインシュリン分泌およびcAMPレベルを増強した.この増強効果は,ヨヒンビン共存下あるいはIAP(百日咳毒素)前処置によりα2-交感神経受容体機能が遮断された場合でも依然として認められたが,Ca-チャネル遮断薬のベラバミル共存下では消失した.以上のことより,midaglizoleは,交感神経活性の元進時にはヨヒンビンと同様α2-交感神経受容体に働き膵島cAMPレベルとインシュリン分泌の低下を阻害する加グルコース刺激時にはヨヒンビンとは異なりα2-交感神経受容体を介することなく膵島cAMP産生を増強しインシュリン分泌を高めていると推測された.

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