日本薬理学雑誌
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ラット摘出大動脈に対する3-octylphthalide(NY-008)の血管弛緩作用
福田 行男神谷 哲朗刀禰 寛安藤 正知北山 隆西澤 義則萬 秀憲土屋 秀一芋川 玄爾
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1995 年 105 巻 5 号 p. 381-388

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抄録

3-octhylphthalide(NY-008)の血管平滑筋弛緩作用について,ラット摘出大動脈リング標本を用いて検討を行った.3×10-5MのNY-008は,10~70mMの塩化カリウム(KC1)収縮を抑制した.またNY-008は60mMのKCI収縮を濃度依存的に抑制し,そのIC50値は(6.17±1.75)×10-6Mであった.さらにNY-008は,10-6Mのノルエピネフリン(NE)による持続性収縮を10-6~10-4Mの範囲で濃度依存的に最大90.0±2.86%抑制し,そのIC50値は(2.06±0.38)×10-5Mであった.ベラバミルは10-6MのNEによる持続性収縮を10-8~3×10-6Mの範囲で濃度依存的に最大55.9±5.56%抑制した.また3×10-5Mおよび10-4MのNY-008は,Ca2+除去栄養液中での10-6MのNEによる相動性収縮を,それぞれ22.4±3.69%,35.4±5.74%抑制したが,3×10-7Mのベラバミルはこの収縮を抑制しなかった.あらかじめ60mMのKClで脱分極させた血管での塩化カルシウム(CaCl2)による収縮において,NY-008は濃度依存的にCaCl2に対する最大反応を抑制すると同時にCaCl2のED50値を増加させたが,ベラバミルはCaCl2に対する最大反応を抑制せずにCaCl2のED50値を濃度依存的に増加させた.10-5~3×10-4MのNY-008は,Ca2+除去栄養液中における10-5MのプロスタグランジンF(PGF)による収縮を濃度依存的に抑制したが,10-7~10-5Mのベラバミルはこの収縮を抑制しなかった.以上,NY-008の血管弛緩作用は,Ca2+に対する拮抗作用によることが明らかになった.さらに,Ca2+除去栄養液中でのPGFによる収縮に対する抑制作用から血管平滑筋の細胞内Ca2+に対する感受性の低下作用あるいは収縮タンパクの抑制作用の関与が示唆された.

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