日本薬理学雑誌
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Eck痩犬における血中および髄液中のアンモニアおよびアミノ酸濃度に対するラクチトール(NS-4)の作用―ラクツロースとの比較検討―
渡辺 正義尾崎 孝幸平田 佳久吉国 義明木村 喜代史鈴木 一幸佐藤 俊一
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1995 年 105 巻 5 号 p. 389-402

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抄録

実験的高アンモニア血症モデルとして,Eck痕犬[門脈・大静脈吻合(PCS)犬]を作成し,血中および髄液中のアンモニアおよびアミノ酸濃度に対するラクチトールの作用をラクツロースと比較検討した.Eck痩作成3週目より被験薬物を4週間反復胃内投与し,投与開始後2週および4週目に採血と髄液採取を行った.対照群では,薬物投与開始前において静脈血,動脈血および髄液のアンモニア濃度が,術前に比べ明らかな高値(静脈血,2.84倍;動脈血,2.95倍および髄液,5.26倍)を示し,以後も漸増した.血漿アミノ酸分析では,肝硬変患者やPCS動物に特徴的な分枝鎖アミノ酸濃度[バリン(Val),ロイシン(Leu),イソロイシンおよびこれらの和(BCAA)]の低下と,芳香族アミノ酸(フェニールアラニン,チロシン),これらの和(AAA)およびトリプトファン(Trp)濃度の増加が認められた.また,髄液においては芳香族アミノ酸,AAA,グルタミン(Gln),Trpおよびグルタミン酸の増加が顕著であった.一方,ラクチトールは静脈血,動脈血および髄液のアンモニア濃度上昇を用量依存的に抑制し,1および3g/kg/dayでの作用は有意なものであった.また,ラクチトールは3g/kg/day4週間投与で,対照群に比べ,血漿中Trp濃度ならびに髄液中Va1,Leu,BCAA,芳香族アミノ酸,AAAおよびGln濃度を有意に低下させた.ラクチトールのこれらの作用はラクツロースの同用量においてほぼ同程度認められた.以上,ラクチトールはラクツロースと同様に肝性脳症発症に関与している血中および髄液中アンモニアならびに髄液中芳香族アミノ酸の濃度を低下させたことから,高アンモニア血症および肝性脳症の治療剤として期待される.

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