日本薬理学雑誌
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インドメタシンによる胃出血および胃粘膜損傷に対するランソプラゾールの作用
村上 泉浅野 正一幸重 浩一長屋 秀明佐藤 宏稲富 信博
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1996 年 108 巻 6 号 p. 323-332

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抄録
ランソプラゾールの急性胃粘膜病変に対する治療効果を検討する目的で, ラットを用いインドメタシンによる胃出血と胃粘膜損傷に対する作用を静脈内投与で検討し, オメプラゾール, ファモチジンおよびラニチジンの作用と比較した.インドメタシン30mg/kg投与により胃出血が惹起されるが, この条件下にランソプラゾールを投与すると強い胃出血抑制作用を示し, ID50値は0.29mg/kg, i.v.であった.オメプラゾールおよびファモチジンも有意な胃出血抑制作用を示したが, ラニチジンは軽度な抑制しか示さなかった.ランソプラゾールの胃出血抑制作用は酸分泌抑制作用と相関し, 灌流液中に50mM塩酸を添加することにより消失したことから, ランソプラゾールの胃出血抑制作用は主として酸分泌抑制作用に基づくと考えられた.ランソプラゾールはインドメタシンによる胃粘膜損傷の進展に対して抑制作用を示し, ID50値は0.10mg/kg, i.v.であった.オメプラゾール, ファモチジンおよびラニチジンのID50値は各々0.69, 2.58および24.6mg/kg, i.v.であり, ヒスタミンH2受容体遮断薬の作用は比較的弱かった.以上の成績からランソプラゾ-ルは胃出血および胃粘膜損傷の進展に対して強い抑制作用を有し, 急性胃粘膜病変の治療に有用と考えられた.
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