日本薬理学雑誌
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破骨細胞の分離培養とその機能解析
亀田 剛真野 博久米川 正好
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1997 年 109 巻 2 号 p. 75-84

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抄録

骨組織は,成熟後においてもその一部では吸収と形成が繰り返され,そのバランスにより正常な構造と機能を維持している.骨吸収を担う主な細胞である破骨細胞は,高度に分化した多核の巨細胞である.破骨細胞の分化や機能の調節には骨芽細胞や骨髄間質細胞(ストローマ細胞)が深く関与していると云われている.しかし,破骨細胞に対する様々な物質の直接的な作用については不明な点が多い.そこで,多くの研究者が破骨細胞の分離培養を試みてきた.鳥類では分離培養に成功したという報告もあるが,哺乳類の破骨細胞を高純度に分離することは困難であった.当初,我々の教室ではプラスチックシャーレに対する接着力の差を利用して破骨細胞のみをシャーレ上に残すことにより分離培養することに成功していた.ところが,この破骨細胞はシャーレから剥離できないため,その機能を評価できなかったので,その利用には限度があった.我々は,試行錯誤の結果,コラーゲンゲルを用いることによりこの問題を解決した.そこで,本稿ではコラーゲンゲルを用いて破骨細胞を分離培養する方法を中心にその機能の解析を併せて紹介する.

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