日本薬理学雑誌
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新規抗アレルギー薬ベシル酸ベトタスチン(TAU-284)の抗アレルギー作用
谷藤 直子村田 隆司斉藤 信子酒井 敦子菊地 松夫黒葛 原啓成田 寛
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1997 年 110 巻 1 号 p. 19-29

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抄録

新規抗アレルギー薬ベシル酸ベトタスチン(ベトタスチン)の抗アレルギー作用についてラットを用い,各種のモデルで既存の抗アレルギー薬と比較検討した.1)ベトタスチンは経ロ投与により,ラット同種受身皮膚アナフィラキシー(PCA)を抑制した(ID30値:0.38mg/kg).その作用は1mg/kgにおいて有意であり,ケトチフェン,テルフェナジン,セチリジンおよびエピナスチンより強かった.ベトタスチンのPCA抑制作用は投与後8時間以上持続し,また,8日間に亘る反復投与では薬剤耐性の誘導はみられなかった.2)ベトタスチンは経口投与により,ヒスタミン誘発皮膚血管透過性充進を用量依存的に抑制し(ID30値:0.10mg/kg),抑制作用は4時間以上持続した.その作用は0.1および1mg/kgで有意であり,それぞれの投与量においてケトチフェン,テルフェナジン,セチリジンおよびエピナスチンより強かった.3)ベトタスチンはラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離を高濃度で抑制した.4)コンカナバリンA誘発ラット胸膜炎において,ベトタスチンは30mg/kgの経口投与により,胸腔内滲出細胞からのヒスタミン遊離を抑制した.5)ベトタスチンはラット腹腔細胞からのロイコトリエンB4および5-HETEの産生を高濃度で抑制した.以上の結果から,ベトタスチンは強力かつ持続的な抗アレルギー作用を示し,その薬効には抗ヒスタミン作用が関与していることが示唆された.

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