日本薬理学雑誌
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ゲンノショウコエキス配合止瀉剤の収斂作用および空腸粘膜の短絡電流に対する作用
大藤 和美原 英彰洲加本 孝幸山下 伸二
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1998 年 111 巻 4 号 p. 265-275

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抄録

フェロベリン®Aは塩化ベルベリンとゲンノショウコエキスを配合した止瀉剤である.今回,止瀉作用の機序解明を目的として,Relative Astringency(RA)測定法を用いてウサギ血液ヘモグロビンに対する結合活性を指標にして収斂作用を,ウッシング型チャンバーを用いてイオン輸送能の指標であるラット空腸粘膜の短絡電流に対する作用をゲンノショウコおよび塩化ベルベリンについて検討し,タンニン酸,タンニン酸アルブミンおよび次硝酸ビスマスの作用と比較した.ゲンノショウコ,タンニン酸および次硝酸ビスマスは明らかな収斂作用を示し,その作用はそれぞれ1mg/m1以上,0.3mg/ml以上および10mg/m1で有意であった.一方,塩化ベルベリンおよびタンニン酸アルブミンは明らかな作用を示さなかった.ゲンノショウコおよびタンニン酸はラット空腸粘膜の短絡電流を濃度依存的かつ緩徐に増加させ,その作用はいずれも10mg/mlで有意であった.一方,塩化ベルベリン,タンニン酸アルブミンおよび次硝酸ビスマスは短絡電流に対して明らかな作用を示さなかった.腸粘膜から腸管腔への水,電解質の分泌を亢進する下痢誘発物質コレラトキシンは,短絡電流を0.1mg/mlの濃度で減少させた.このコレラトキシンの短絡電流減少作用はゲンノショウコ10mg/m1の前処置によって抑制され,ゲンノショウコによりコレラトキシンによる水・電解質分泌の亢進が抑制された.以上,ゲンノショウコは収斂作用並びに腸管粘膜での短絡電流増加作用を有し,これらの作用がゲンノショウコおよびその配合剤であるフェロベリン®Aの止瀉作用の機序の一部と考えられた.

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