日本薬理学雑誌
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新規シート状フィブリン接着剤TO-193の組織の接着および臓器の閉鎖効果
菅野 聡山崎 宏柏原 早苗内山 浩之前川 祐理子伊藤 吾朗武藤 正仮屋 勝秀小嶋 知夫越山 良子織田 実来海 正輝
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1999 年 113 巻 4 号 p. 269-276

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抄録

TO-193(TaclloComb®)は,コラーゲンシート上にフィブリノゲン,トロンビンおよび抗線溶薬であるアプロチニンを乾燥状態で固着させた新しいタイプのフィブリン接着剤である.TO-193のこれら活性成分が発現する膠着性について,肝臓切除部に対する製剤の接着力を指標に,TO-193の支持体であるスポンジ状コラーゲンシートおよびその類薬である微線維性コラーゲン止血剤Novacol®およびAvitene®と比較した.TO-193はいずれのコラーゲン製剤に比較しても有意に強い接着力を示し,TO-193の活性成分は適用部位において膠着性を発現することが確認された.また,TO-193の骨および皮膚の接着効果ならびに肺および胃に作製した縫合不全部の閉鎖効果について,液状フィブリン接着剤Beriplast® Pと比較検討した.TO-193はいずれの部位においても,Beriplast® Pに比較して適用早期より効果を発現し,その作用強度は明らかに強かった.Beriplast® Pのフィブリノゲン濃度は一定であるのに対し,TO-193では乾燥状態のフィブリノゲンを少量の組織液等で溶解させることから,適用部位に高濃度のフィブリノゲンが存在していると考えられ,両製剤の効果に差が生じた理由の一つとして,適用部位におけるフィブリノゲン濃度の差が関与した可能性が考えられた.また,支持体による適用部位の開裂阻止作用や圧迫適用によるフィブリンの浸透性の向上もTO-193の効果に関与している可能性が推察された.これらの結果は,フィブリンの膠着性を有効に発現させるシート状フィブリン接着剤の有用性を示唆するものと考えられた.

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