日本薬理学雑誌
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腸クロム親和性細胞の細胞内力ルシウム動態解析法
平藤 雅彦佐藤 洋一南 勝
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1999 年 114 巻 6 号 p. 357-363

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抄録

全身のセロトニン(5-HT)のおよそ90%は腸管に分布し,そのほとんどは腸クロム親和性(EC)細胞の顆粒内に局在している.EC細胞は小腸粘膜に散在するため5-HT遊離機序と細胞内カルシウム濃度の関連などその細胞内情報伝達系の基本的な点も不明である.本稿ではマウス小腸よりEC細胞が散在する陰窩標本の分離法と,その細胞内カルシウム動態解析法を紹介する.マウス回腸切片を摘出し筋層を剥離した後,コラゲナーゼ処理を行って粘膜組織を消化する.その後駒込ピペットで適度なピペッティングを加えて組織を分散させる.陰窩標本の分離法で重要なポイントはこのコラゲナーゼ処理とピペッティングの条件である.陰窩標本は長軸100 μm前後,短軸50 μm前後の長細い壷状をした数十個の細胞集団であるが他にも大小の上皮細胞塊,破壊細胞などが混在しているので,110 号(160 μm)と30 号(30 μm)のナイロンメッシュで分別して陰窩標本を集める.得られた陰窩標本を抗5-HT抗体を用いた蛍光抗体法で免疫染色して共焦点レーザー顕微鏡で観察すると,1個の陰窩標本に0~3個ほどのEC細胞が同定される.陰窩を構成する細胞の細胞内カルシウム動態解析には,蛍光顕微鏡画像解析装置を用いる.陰窩標本を底面が無蛍光ガラスになっている測定用チャンバーに接着物質(Cell-Tak)で接着固定し,蛍光カルシウム指示薬としてfura-2を用いて蛍光画像データを取る.用いた陰窩標本が後でわかるようにマーキングし,パラホルムアルデヒドで固定し,免疫染色してEC細胞を同定する.蛍光画像データからEC細胞での蛍光変化を再度解析することによりEC細胞での細胞内カルシウム動態が解析できる.本方法は他の消化管ホルモンを含有する様々な内分泌細胞にも応用可能と考えられる.

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