日本薬理学雑誌
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クロモグリク酸経口プロドラッグのマウスコラーゲン関節炎に対する効果
小林 裕太白波瀬 弘明趙 会芳柿添 栄一奥西 秀樹
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1999 年 114 巻 supplement 号 p. 154-158

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抄録

クロモグリク酸は抗アレルギー薬として広く臨床応用されているが、消化管からの吸収が悪く、適応に限界があった。このような薬物に対し、経口投与可能なプロドラッグをデザインすることで新しい臨床応用を目指すことが可能となる。今回はクロモグリク酸に2つのエチル基と1つのリシル基を導入し経口投与可能としたクロモグリク酸プロドラッグ、cromoglicate lisetil(CL)を用い、慢性関節リウマチの病態モデルであるマウスコラーゲン関節炎に対する、経口投与の治療効果とその作用機序を検討した。DBA/1J雄マウスにウシII型コラーゲンを投与し、関節炎マウスを作成した。関節炎発症後、病態モデル動物にCL(100mg/kg/日)を6週間投与した。CLは未治療群に比べ、肉眼的及びX線写真による症状の進展の抑制、抗コラーゲン抗体産生の抑制効果を示し、さらに炎症部位の肥満細胞数増加をほぼ完全に抑制した。以上より、CLの抗リウマチ治療薬としての可能性が示唆された。また、この結果は肥満細胞の関節炎における病態生理学的意義を示唆するものと考えられた。

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