日本薬理学雑誌
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芳香族鹽化物の蛔虫驅除作用並に其毒作用に就て
河野 經夫
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1951 年 47 巻 1 号 p. 9-14,en1

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抄録

さきに瓜生田は脂肪族鹽化物の蛔虫に對する驅除作用に就て發表してゐる.余は更に芳香族鹽化物中, 殊にToxiphorと考えられる石炭酸を同時に有するものに適當なる驅虫藥は見出せないか檢討し之をHexylresorcinと比較すると共に其毒作用を檢した.蓋し本屬中にもMonochlorbenzol, p-Dichlorbenzolの如く以前驅虫藥として用いられてゐたものがある.之等のものは同時に人體に對し強い毒作用を持つてゐる爲今日に於ては最早用いられなくなつて居るのである.尚Alkyl-基を有するものに就てはKochmanは一定のAlkylphenol分子中にハロゲンを入れると相當よい結果が得られ, 特にp-Chlorcarvacrol, 4-Chlor-2-hexylphenol, 4-Chloro-2-heptylphenlが試驗管内で蛔虫に作用することを認めてゐる.殊に5-Chlorocarvacrolは15万倍の濃度で試驗管内で蛔虫を麻痺せしめ, より高度の濃度では急速に致死せしめ, 又之を犬に與えて見たのに, 中毒を起さぬ位の量で蛔虫驕除作用を現わし, 然もCarvacrolそのもの又はThymolより刺戟作用は少なかつたという.1-Octyl-5-chlororesorcinol, 5-Octyl-4-chloropyrocartocholのような他のAlkylpolyhydroxylchlorobenzolも亦蛔虫驅除作用を有すると云われる.

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