日本薬理学雑誌
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α系およびγ系運動系に対するL-Dopaの作用
酒井 豊岩田 宜芳青島 正治
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1973 年 69 巻 3 号 p. 467-482

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抄録

ネコを用いてL-dopaの運動系に対する作用をしらべ以下の結果を得た.
1) Sherrington型除脳固縮は, 40mg/kgの静注で筋放電の振幅が若干増大した.また1g/kgの経口投与でも同様であった.
2) Pollack-Davis型貧血性固縮は60mg/kgの静注および1g/kgの経口投与でも変化は認められなかった.
3) 無麻酔脊髄ネコの単シナプス反射,多シナプス反射および後根電位はいずれも1g/kgの経口投与で変化しなかった.
4) ペントバルビタール麻酔ネコのspontaneous γ-dischargeは1g/kgの投与 (p. o.) で抑制されたが投与後15m以後60mまではほとんど変化しなかった.
5) 大脳皮質,尾状核,中脳網様体刺激による伸筋,屈筋group Ia spindle afferent dischargeの促通はいずれも1g/kg (p. o.) で阻止された.また伸筋group Ia spindle dischargeに対して小脳前葉からの促通は軽度に抑制されたが後部視床下部からの促通は影響をうけなかった.
6) 屈筋group Ia spindle afferent dirchargeに対する大脳皮質運動野,尾状核および中脳網様体刺激による促通の閾値はL-dopa 1g/kgの投与によりそれぞれ20, 30, 250%の上昇を示した.
7) muscle spindle にはL-dopaは作用しなかった.
8) 60mg/kgの静注により血圧上昇は著明であるが, 1g/kgの経口投与は1/5例で上昇をみとめたが他はほとんど変化なく, 500mg/kgでは変化しなかった.しかし脈血の上昇はいずれもみられた,呼吸は静注,経口のいずれも深く,早くなった.
以上のことからL-dopaの作用を考察した.

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